無印良品のイスラエル出店についてのよくある質問と答えです。「Stop無印良品キャンペーン」開始以前の動きに関するものも含みます。
批判としての質問や意見にも答えられればと思います。
無印良品に働きかけを始めた当初は、無印良品が、なんでもいいから金をよこせ的な企業ではなく、「誠実さ」や「コミュニケーション」や「環境重視」などの姿勢を打ち出しているので、そんな企業がアパルトヘイトを支持するはずがない、そんな企業ならわかってもらえるはずだと甘いことを考えていた部分もありました。ですが、いざ無印良品とやり取りを始めてみると当然かもしれませんがそんな甘いものではなく、残念ながら無印良品が掲げている理念は、あくまでもイメージ作りのための宣伝でしかないことがはっきりとわかりました。そこで、これはこのまま地道なやり取りをしていても無印良品のアパルトヘイト支持の気持ちは絶対に変えられないと判断してこのようなキャンペーンを始めることになりました。
無印良品がイスラエルへの出店を中止したらこのキャンペーンは終了します。私たちは常に無印良品とやり取りをしていますので、出店が中止されたらすぐに連絡をもらえるようになっています。ですので、無印良品があなたに何を言ってこようとこのキャンペーンが終わるまでは、無印良品は出店計画を着々と進めていると考えてください。
「Stop無印良品キャンペーン」は、イスラエルBDSの一環として取り組んでいます。
「BDS」は「ボイコット、投資・資本の引き揚げ、制裁措置」を意味する英語「Boycott, Divestment, Sanctions」の頭文字からとったものです。
イスラエルBDSは、パレスチナやイスラエルの中だけで抗議の声を上げても武力で弾圧されるだけでアパルトヘイト政策が変わりそうにないという事実や、国連や政治交渉の場では、イスラエルとアメリカが強大な軍事力を盾にして問題解決を阻止しようとすることから、パレスチナの市民から世界に向けてSOS的に呼びかけられ始まった市民レベルの取り組みです。
「B:ボイコット」には、イスラエルの企業・製品のボイコットとイスラエルとの文化交流のボイコットが含まれます。「D:投資・資本の引き揚げ」は、イスラエル経済に貢献しないということです。「S:制裁措置」は、イスラエルとの輸出入禁止などを行うよう各国政府に働きかけるということです。
今やすっかり有名になったパレスチナからの呼びかけは「国際法および人権という普遍原理の遵守までイスラエルに対するボイコットと資本の引き揚げ、制裁措置を行うよう求めるパレスチナの市民社会からの呼びかけ」という長いタイトルの短い文章ですので、詳しくはそれを読んでみてくださればと思います。イスラエルBDSキャンペーンは、南アフリカのアパルトヘイトを終わらせるために行われた国際的なボイコットを参考にしたものです。
世界各地で様々な取り組みが行われています。それらには、経済的なことだけではなくて文化的なボイコットも含まれています。たとえば「世界的な高まりを見せるイスラエル・ボイコットの動き」などの記事を読んでもらえればと思います。
スポーツや芸術や学術交流などの文化ボイコットは、南アフリカの反アパルトヘイト運動でも有力な方法として取り組まれ成果を上げた活動です。文化ボイコットは、あなたの国の政府がやっていることに反対です、なんとかなりませんか、というメッセージを市民レベルで伝えることを目的とした取り組みです。ただし文化ボイコットは、文化交流のすべてをボイコットするということではなく、アパルトヘイトを支持したり無視したりしているものに関してのボイコットとなります。アパルトヘイトを終わらせるためのイスラエル国内の動きもありますので、問題解決へ向けての交流や議論などはボイコットの対象になっていません。イスラエルに問題などないかように振舞っているものだけが対象になっています。
文化ボイコットについては、それによってイスラエル国内の動きが閉じたものになり活動が衰退するという反論もありますが、上記のように、問題解決に向けての動きはボイコットの対象ではありません。また、南アフリカのときの例にもありますように、文化ボイコットを行うことで、実際には問題解決に向けての交流や議論はより活発化するはずだとの見通しがありますし、そうなりつつあります。
無印良品に何か恨みがあるわけではもちろんないのですが、無印良品のイスラエル出店について大きな問題だと考えられるのは、まず、これが日本の歴史上初めての小売店のイスラエル出店だということです。イスラエルのように国際的な批判を受けている国に進出する際、企業は様々な理由で自社が初めてのケースになることを躊躇すると思います。そんな中、無印良品が初めてのケースになるのを引き受けることで、今後無印良品のあとに続く企業が現れやすい環境になると予想されます。私たちは、日本の企業がイスラエルに進出しやすい環境が整うことを大きな問題だと考えています。そのことは、無印良品にイスラエル出店をなんとしてもやめてほしいと願う大きなポイントです。
さらには、イスラエルBDSの動きが世界的に高まっているにも関わらず、それに対抗する形で無印良品がイスラエル進出を決めたこともポイントです(BDSの呼びかけがされたのは2005年です)。イスラエルに出店するに当たり調査の段階でBDSの呼びかけとその高まりに気づかないことはあり得ません。無印良品が、知っていてなおそれらを無視したのはあきらかです。「Stop無印良品キャンペーン」は、パレスチナからのイスラエルBDSの呼びかけをどうか無視しないでくださいというお願いの意味も込めた取り組みでもあります。
あるいは、次の質問「無印良品がイスラエルに進出しても大した影響はないと思うのですが?」の答えに書いたようなこともあります。
なぜ、イスラエルと関係する企業の中から無印良品だけを取り上げているのかについては、上記のような無印良品ならではの事情とともに、単純に、一度にいくつものことに取り組めないからということがあります。他の企業のことにも取り組むべきだと思われる方が他の動きを作られることに反対するものではありませんので、必要性を感じられる方は、アクションを起こしてくださればと思います。
だから放っておけばいいじゃないかということでしたら、そうは思いません。無印良品のことに限らず、それぞれの影響の大小を問題にしているのではないからです。また、小さなことが積み重なって大きな影響となることもありますので、影響が小さければ問題がないとは思えません。これが前提です。それを踏まえた上で、私たちは無印良品がイスラエルに与える影響が小さいとは考えていません。無印良品がイスラエルに与える直接的な影響はたしかに小さいと思います。が、「イスラエルと関係のある日本の会社は他にもあると聞きます。なぜ他の会社じゃなくて無印良品なんですか?」にも書きましたように、日本の小売店として歴史上初めてのイスラエル出店という点で、イスラエル進出を考えている他の日本の企業に与える影響は大きいと思われます。無印良品がイスラエル出店のモデルケースとなることで、それに続こうとする企業のハードルを下げ、イスラエルで一儲けしようとたくらむ企業が次々と現れても不思議ではありません。それは、結果的にイスラエルに大きな影響を与えることになると予想されます。
また、無印良品がイスラエルに進出することで、イスラエルに対して、アパルトヘイト政策への支持だとのサインを送ってしまうという問題もあります。自分たちを支持してくれる無印良品のような企業もあるのだとのサインをイスラエルに送ることの悪影響は説明するまでもないと思います。
今イスラエルは、海外の企業からの支持を取りつけることでイメージアップをはかり数々の不正を隠そうというねらいもあって、熱心に海外の有名ブランドの招致をしています。それは企業の枠を超えた、国家レベルの政治的な取り組みです。無印良品の前にターゲットとなったのは、日本にも出店しているスウェーデンのファッション・ブランド「H&M」でした。「H&M」は、イスラエル出店は噂に過ぎないとのウソで抗議をかわしながら2010年3月にイスラエルに出店したのですが、「H&M」のイスラエル出店をコーディネートしたのがイスラエル大使館だったことが明らかになっています(世界各地で「H&M」に対する抗議活動も起こっています)。
イスラエルがなぜ海外有名ブランドの招致に熱心なのかは、有名ブランドを呼び込んでイスラエルのイメージアップをはかり、次に「あのブランド/企業も進出しているイスラエル」という売り込みで他の企業を呼び込む戦略があるからなのだろうと思われます。無印良品のことで裏でイスラエル政府筋が動いているのかどうかはまだ不明ですが、実際に政府筋が動こうが動くまいが、無印良品が出店したら利用できる/利用されるということでは結果は同じです。
無印良品の利用方法としては、これが日本の歴史上はじめてのイスラエル出店ということで、それをモデル・ケースとして他の日本企業を呼び込むことに使えます。また、海外でも有名な無印良品のイスラエル出店は、日本以外の企業の招致にも利用できるので、イスラエルにとって無印良品は利用価値が高いと言えるでしょう。このことからも、無印良品のイスラエル出店がイスラエルに与える影響は小さいとは言えません。無印良品の考えがどうあれ、結果的に無印良品の出店がイスラエルに政治的に利用されることは間違いありません。そういう意味では、無印良品はイスラエルにうまくだまされて、やっかいな罠にはまってしまったのかもしれません。
「Stop無印良品キャンペーン」は、今の時点で無印良品のボイコットを呼びかけているものではありません。理由は、次の項目に書いています。
なおこれは、キャンペーンの展開としての話ですので、今の時点で無印良品に不快感を感じ、もう無印良品では買い物をしたくないと思っている方の気持ちや行動をとやかく言っているわけではありません。無印良品ではもう買わない/買えないという方は、どうか思うようになさってください。また、もちろんこれは、無印良品がイスラエルに出店するまでは、ぜひ無印良品で買い物をしましょうとの呼びかけでもありません。
まずはじめにわかってもらいたいのは、「Stop無印良品キャンペーン」は、イスラエルBDSのひとつの取り組みであり、イスラエルBDSは、日本の企業を罰することを目的にした取り組みではないということです。イスラエルBDSは、BDSの取り組みを通してアパルトヘイトを終わらせることが目的です。
イスラエルBDSには、「B:イスラエルの企業や製品などをボイコットする」、「D:イスラエルへの投資をやめる/イスラエル経済に貢献しない」「S:イスラエルとの輸出入の禁止などの制裁をする」といったそれぞれ違ったレベルの取り組みがあります。「B:ボイコット」の対象の基本は、イスラエルの製品や企業などであって日本の企業ではありません。イスラエルと関係を持つ日本の企業は「D:イスラエルへの投資をやめる/イスラエル経済に貢献しない」という点でBDSのターゲットとなりますが、日本の企業のボイコットがBDSの目的ではありません。
「Stop無印良品キャンペーン」は、無印良品にイスラエルとの関わりをやめるよう働きかけ、実際にやめてもらう取り組みです。現在、無印良品はイスラエル出店の計画段階ですので、まずは、その計画を中止するように働きかけようというのが今の時点での判断です。今はまだその段階だと考えています。無印良品が、自分たちがなにをしでかそうとしているのかよくわかっていない可能性もある今、無印良品に事情を伝え、考え直す時間を作ることは話の筋だと考えます。BDSは、企業に無闇にクレームをつけたり相手をやりこめることでうさ晴らしをしようという取り組みではありません。一般的に誰かを説得するときと同じように、あわてて敵対するのではなく、まずは説得してみるという段取りを踏むことも必要だと考えています。
もし無印良品が悪質な開き直りを始めたり、イスラエルに出店してしまったら、さらに強く無印良品に働きかけるためにボイコットを広く呼びかけることになると思います。そのことは無印良品には伝えてありますので、選択権は、すでに無印良品側がにぎっています。ボイコットの呼びかけが始まるかどうかは無印良品次第ということです。ボイコットを避けるかどうかも無印良品次第です。私たちは、ことさら無印良品のボイコットを呼びかけたいわけではありませんので、どうするかは無印良品に決めてもらえばいいと考えています。無印良品は、自分たちに決定権があることをよくわかっています。私たちとしては、できればボイコットを呼びかけるような事態になってほしくないと心から願っています。
なお、ここまでの話は、キャンペーンの展開としての話ですので、今の時点で無印良品に不快感を感じ、もう無印良品では買い物をしたくないと思っている方の気持ちや行動をとやかく言っているものではありません。無印良品ではもう買わない/買えないという方は、どうか思うようになさってください。また、もちろんこれは、無印良品がイスラエルに出店するまでは、ぜひ無印良品で買い物をしましょうとの呼びかけでもありません。
「イスラエルとパレスチナ?」のコーナーで簡単な解説と本の紹介をしていますので、そちらを参考にしていただければと思います。
このサイトは、無印良品のイスラエル出店を止めるための動きを独占しているわけでも、独占したいわけでもありません。また、私たちにも至らないことは多々あると思います。ですので、このサイトに納得がいかない方や自分ならこうするというアイデアをお持ちの方は、そう考えたりそう言ったりするだけで実行しないのではもったいないですし、考えたり言ったりするだけではイスラエル出店を止めることにも結びつきませんし、私たちの分析や批判や指導に熱意と時間を浪費していただくのも申し訳ありませんので、ぜひ実際にあなたの考えを活かした展開をなさってください。様々な展開があるほうが、より多くの共感を得る可能性も高まると思いますので、ぜひともお願いします。
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