2005.01.08
イスラエルにおけるアラビア語の地位の危機
Posted by:早尾貴紀
ここ数日のいくつかの報道で、イスラエル国内におけるアラビア語の(法的)地位が危ぶまれるような記事が出ていました。
ひとつには、新しくオープンしたベングリオン空港の第三ターミナルの各案内にアラビア語表示がないこと。アラビア語は「公用語」なのに表示がないというのは不当だとして、裁判にまでなっています。
もうひとつは、そのアラビア語の公用語としての地位そのものを奪う法案が提出されたことです。「ヘブライ語の日」に合わせた、右派議員(国家統一党議員)のパフォーマンス的な意味合いもあるから、即座にどうこうなるものではないでしょうけれども、昨今のイスラエル(のマジョリティ・ユダヤ人)の反動的な情勢を見ると、いずれはまったくありえない話でもないだろうという気がします。
また、百年のシオニズムのプロジェクトを考えても、いつかは「純ユダヤ化・純ヘブライ語化」を達成することを夢見ているわけですから、その法案を批判したパレスチナ人のクネセト議員(イスラエル・アラブ)が言うように、基本的にはトランスファー(アラブ・パレスチナ人の追放)の思想と根は同じでしょう。今回はそれが少しだけ目に見える形になりましたが、いずれ機会を見てもっと大きな排外の流れとして出てこないともかぎりません。