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2005.02.22

「西岸北部から入植地撤去」って何?

Posted by:早尾

新聞各紙、「ガザ・西岸北部から入植地撤去の決定」の見出し。その中身は、「ガザにある入植地すべて」と「西岸北部にある4つの入植地」とある。ガザについては、「ガザ切り捨て」が意図されているのは明白。さて、西岸の4つとは何か?

具体的には、ジェニンのすぐ東に位置する「ガニーム」と「カディーム」の2つと、それからトゥルカレムとナブルスのあいだに位置する「サ・ヌール」と「ホメッシュ」の2つ。いずれも、小さな入植地で、グリーンラインや他の大入植地から孤立しており、これらのためだけに分離壁を拡張したり、またわずかな住民のために兵士を配置することが、コストに見合わない。ただそれだけが、撤去に踏みきらせた理由だと思われます。

だから、維持をするよりも、ここであたかも「西岸からも入植地を撤去しているんです!」と世界にアピールするための捨て駒として活用するほうが、価値があると計算をしたのでしょう。そのほうが、煙幕として有効だ、と。これによって、逆に本当の意味での入植地撤去をしない方向に持っていける、と。

実際、この4つが全体の入植地/者の数から比較したら、まったく微々たるものだということが明らかだと思います。入植地が西岸には160前後はあると言われます。その2.5パーセント。でも、大きい入植地もたくさんあるのに、今回撤去される小さいものを同じ「1つ」と数えるのは意味がないですね。だから、人口で見ると、この4つの入植地の人口が約500人。西岸の入植者数が25万人(エルサレムを入れると40万人)だから、その0.2パーセント(0.125パーセント)。つまりは、99.8パーセントの入植者はそのままだということです。

これが、新聞で言われるところの「撤去」の意味だということには注意が必要だと思います。

追記

一年前には、西岸北部から撤去予定になっていた入植地は「6つ」だったんですね。旧P-naviより 見せかけの譲歩、西岸から6つの入植地撤去案

これが、今回4つに減っています。残りの二つも、ジェニン南西に位置している小さな入植地で、壁で囲うのは難しいように思えます。もしかすると、これは将来、「さらに痛みをともなう譲歩をしてやった」というパフォーマンスをするために取っておいているのかも、、、

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