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2005.05.14

イスラエルの「建国」記念日でパレスチナは封鎖状態

Posted by:s.ando

今週イスラエルは、「建国」記念日を祝うためにパレスチナ全土を封鎖状態におき、いつもにも増してパレスチナ人の移動を制限しました。

イスラエルの「建国」とは、すなわちパレスチナ人にとっての「ナクバ」(大災厄)を意味します。

1947年、国連は「パレスチナ分割決議」によって、それまで約6パーセントの土地を所有していたに過ぎないユダヤ人(約60万人)に歴史的パレスチナの約56パーセントを与え、残りをパレスチナ人(約130万人)に、エルサレムは国際管理区域とするという決定を下しました。これだけでもじゅうぶんに理不尽な事態ですが、1948年の第一次中東戦争においてイスラエルは歴史的パレスチナの78パーセントを占領、1967年の第三次中東戦争ではついに100パーセントの土地を占領しました。その過程で多くの人が命を奪われ、あるいは故郷を追われ難民となります。

国連は、イスラエルに対して何度も占領地から撤退するよう決議を行っていますが、イスラエルはアメリカの保護のもと、その決議を無視し続けています。また、より強制力の強い国連安保理決議は、アメリカが拒否権を発動するため、イスラエルを批難する採択が行えないのが実状です。

参考:パレスチナ分割決議案地図

そして現在、イスラエルは占領地内に入植地やアパルトヘイト・ウォール(隔離壁)を建設し、パレスチナは、歴史的パレスチナ全土の10〜15パーセントの、しかも、5つか6つの飛び地としてしか存在できなくなっているという状況に晒されています。

参考:1948年以前、1967年、2005年のパレスチナの領土を並べた地図

そんな現状を伝えるべく、「パレスチナ・ナビ/ナブルス通信」が『「ナクバ」は続いている』と題して、「家屋破壊に反対するイスラエル委員会」のジェフ・ハーパーによる「存続可能なパレスチナ国家の終わり」という文章の日本語訳を公開しています。

イスラエルが「建国」記念日を祝う一方で、パレスチナでは「存続可能なパレスチナ国家の終わり」が確実なものになろうとしています。

『存続可能なパレスチナ国家の終わり』

付記:パレスチナとイスラエルの国家の在り方に関してはパレスチナ人イスラエル人双方にいくつかの考えがあります。最も排他的なものとしては、それぞれの住民を全て排除して歴史的パレスチナ全土にユダヤ人だけの、あるいはパレスチナ人だけの国家を作るというもの。いくらなんでもこれは、少数派でしょう。おそらく多数を占めるのは、それぞれに領土を持っての二国家共存という考え。そして、最もラジカルなものとしては、歴史的パレスチナ全土で全ての住民が共存すべきだというものなどがあります。

また、二国家案といっても、パレスチナ人が想定するのが当然対等な二国家であるのに対して、イスラエル人の想定する二国家案には、どの程度パレスチナの経済をイスラエルに隷属させるか、どの程度パレスチナ人の主権や自由を制限するかなどという点で相当な差があると思われます。

これに、難民の帰還権の問題が含まれると、さらに意見は分かれるようです。占領に反対し二国家共存を支持するイスラエル人でも、多くの人が難民の帰還権という当然の権利は認めないようです。

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