パレスチナ情報センター

Hot Topics

2006.02.09

ベドウィンの土地の収奪--なお進められる国内の〈占領〉

Posted by:早尾貴紀

 今日2月9日のハアレツ紙によると、イスラエルの土地当局 Israel Lands Authority (ILA) が、ネゲヴ地方のベドウィンの耕作地2500ドナム(1ドナム=約1000平米)を国有地化し、これに抗議をする地元住民と、当局とともに入った警官隊とのあいだで衝突に発展したとのこと。(イスラエルでベドウィンと一般に呼ばれる人びととは、主に南部のネゲヴ砂漠地方と北部のガリラヤ湖周辺に居住するアラブ・パレスチナ人で、イスラエル建国後はイスラエル国籍を持つ。)

 これまでもイスラエル政府は、既成事実となっているベドウィンによる耕作地の土地所有を認めず、耕作不能にする薬品の散布をするなどして、強硬に土地の使用を妨害してきた(同時に家屋破壊も)。しかし、昨年から路線を修正し、国有地化を認めさせつつ、破格的に安価な賃貸料(象徴的意味しか持たない、1ドナム2シェケル、約50円)で土地をベドウィンに「貸す」という形式をとろうとしている。

 だが、今回の事態で明らかになったのは、そのような「ごまかし」にベドウィンらが騙されない、ということであった。地元の人は、「どんなに安くとも賃貸を認めるということは、土地が政府のものだと認めるということだ。われわれがベドウィンだからといって、そんなリクツがわからないとでも思っているのか?!」と語っている。

 イスラエル国内では、多くのベドウィンの村が「非公認」とされ、地図上に存在しないものとされ、行政サービスから排除されてきた。また、しばしば建造物や耕作地が破壊の対象とされてきた。これらの動きは、イスラエル国籍のパレスチナ人の多い北部ガリラヤ地方に対する「ユダヤ化政策」と合わせて、建国後半世紀以上を過ぎてなお、イスラエルが「純粋なユダヤ人国家」を目指して、「同じイスラエル国民」であるアラブ系住民(パレスチナ人)をあからさまに差別し続けていることの表れであると言える。

追記:

ほぼ同時に、次のようなひどいニュースも入ってきた。P-navi info より。 イスラエル、ネゲヴ砂漠4万人のベドウィンの強制移住を決定

また、ベドウィンの置かれている環境では、ウェブサイト紹介コーナーの、 イスラエル国内のマイノリティ を参照のこと。

トップページ
パレスチナ情報センター