パレスチナ情報センター

Hot Topics

2006.04.12

検問所での人権侵害/検問所という暴力

Posted by:情報センター・スタッフ

 イスラエル軍がパレスチナの西岸地区内部に設置している検問所(チェックポイント)は、パレスチナ人の往来を厳しく制限しており、そのことで日々破壊されている日常生活への影響は深刻さを増している。検問所自体の暴力性は、軍による空爆とは異なり、見た目に派手な破壊活動ではないため、ニュースにもなりにくい。しかし検問所が、パレスチナ人の、とりわけ病人やケガ人や妊婦、あるいは付き添っている医療スタッフなどに対して、その通行を妨害したことによって、死に至らしめるケースも後を絶たない。
 そのことを具体的に示す数字を見て、改めて検問所(チェックポイント)の問題を感じさせられた。Sonia Nettininのレポート Palestinian Health Care Conditions Under Israeli Occupation によると、2000年からの第二次インティファーダ以降、搬送される患者が通行を妨害され長時間にわたって検問所で待たされるなどして、129人もの患者が死亡している。また、67人もの妊婦が検問所で出産を余儀なくされ、もちろん設備不足などのために、うち39人の新生児が直後に亡くなっている。文字どおり「殺された」と言っていいだろう。
 また、医療関係者への暴行も頻繁で、447人が負傷し、36人が殺害されている。他に、救急車への攻撃が383件報告され、うち破壊され使用不能になった救急車が38台に及ぶ。医療機関への襲撃も375件が確認されている。
 質・量ともに、異常な人権侵害だ。占領がいかに非人道的かを端的に物語る数字だと言えるだろう。

 通院だけでなく、通勤・通学などすべての移動が制限され、そして、商品の仕入れ・出荷もままならない。経済活動も著しく妨害され、そのことでもたらされる失業・貧困状態は極限状態にある。

 さらに問題なのは、ここまでパレスチナ人を追い込んでおきながら、「われ関せず」とばかりに、「一方的撤退」を議論するイスラエルだ。パレスチナで、政治や経済が機能しないのはパレスチナ人の側の問題であり、それで独立できないのも自業自得なのだ、と言わんばかりだ。パレスチナを永久的に従属下に置こうという意図が透けて見えている。


【追記】
 ガザ地区への封鎖が医療にもたらす影響もひどい。イスラエルはガザ地区への医薬品の運び込みさえ禁じている有り様だ。以下のレポートが伝えている。
No medications for the Gaza Strip


【参考地図】

トップページ
パレスチナ情報センター