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2006.05.22

国防大臣ペレツ、入植地拡大決定/[追記:早くも建設開始]

Posted by:情報センター・スタッフ

 カディマ連立政権のオルメルト内閣で国防大臣となった労働党首アミール・ペレツは、4地域の入植地拡大を決定した。これらは、占領地内部の「イスラエル間割区域拡大」のために行なわれるもので、将来的な新入植地建設を意図している。

 今回その決定が行なわれたのは、以下の4地域だ。
1、エルサレムの北側のギヴァット・ゼエヴ入植地
2、エルサレムの南側、グッシュ・エツィオーン入植地群内のベイタール・イリット入植地
3、カルキーリヤの南側のグリーンライン沿い、オラニート入植地
4、ヨルダン渓谷北部のマスキヨット入植地

 上記4ヶ所は、いずれもイスラエルの入植地の恒久化にとってひじょうに戦略的な要衝であり(東エルサレムの併合、グリーンラインの食い込み、ヨルダン渓谷支配)、ペレツ国防大臣の前任者の時代から検討されてきたものだ。それをペレツは就任早々にあっさりと承認・決定した。
 かつての労働組合総同盟の議長で、またミズラヒ(アラブ世界出自のユダヤ人)であるペレツが、大方の予想を裏切ってシモン・ペレスを破って労働党首となったときには、労働党が変わりイスラエルの政治が変わるのではないかなどという夢想めいた期待も一部からは聞かれたが、それがいかにはかないもので、はじめから裏切られる運命にあったことかが( 「新労働党首アミール・ペレツって誰?」 参照)、今回の反動的決定によって誰の目にも明らかとなった。
 イスラエルは相変わらず入植地拡大を押し進めるつもりであるし、ペレツはそれを阻止するどころか促進する役割しか果たしえない。ペレツは、これまでの労働党首らと何一つ変わることなく、(相対的な)「穏健派」の労働党イメージをまといつつ占領・入植政策の強化し続けるだけだ。
 また、上記の拡大計画のうち、ヨルダン渓谷のマスキヨット入植地については、昨夏にガザから退去させた入植者らを再入植させるための土地確保であるというのだから、いかに「ガザ撤退」がインチキであったかということもまた、はっきりと示された。今度の入植地拡大決定に、オルメルト内閣とペレツ国防大臣の性格が端的に現れていると言っていいだろう。

【追記】
 上の「4」のマスキヨット入植地については、早くも着工をしたようだ。
 詳しくは、 イスラエル、西岸に新しい入植地を建設 (P-navi info)を参照。

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