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2006.06.01

イスラエル軍、トイレ破壊!

Posted by:情報センター・スタッフ

 ハアレツ紙に「イスラエル軍がパレスチナ人のトイレを破壊」という異様な見出しの記事(5月31日)。何かと思って読むと、西岸地区ヘブロン郊外で、イスラエル軍による家屋破壊に遭ったために洞窟生活を強いられているパレスチナ人の数家族(数十人)が使用していたトイレ施設を、イスラエル軍が「不法建築物」として破壊した、と報じている。
 そもそもこの家族らは、家屋破壊に遭った後に、懲罰的に移住も禁止され、電気・水道へのアクセスも封じられた状態で、イスラエル軍による監視下で洞窟生活を強いられてきた。「青空教室」ならぬ、「青空監獄」と言ったところだろうか。しかも、兵士だけでなく、近隣の入植者らによる嫌がらせ・脅迫も頻繁にあったという。
 その文字どおりに非人間的な生活の惨状を見かねたクリスチャン団体が寄付したのが、トイレであった。それを今回、イスラエル軍は「無許可で設置した不法な施設だ」として破壊に及んだ。およそ常軌を逸した行動で、まさに血も涙もないとはこのことだ。
 だが、この冷酷な破壊行為も、ただの嫌がらせではないらしい。この地域で人道活動をしている「タアユシュ」(「共存」を意味する:アラブ人とユダヤ人によるNGO)によると、近く予定されているユダヤ人の不法入植地の撤去を前にして、それに対する入植者らの抵抗感を和らげるためのパフォーマンスであろうとのこと。つまり、ユダヤ人に対してもパレスチナ人に対しても等しく法を適用していますよ、という印象を与えるためなのだという。
 しかし、そもそもまったく次元の異なる「違法建築物」だ。方や「地元」に住みながら占領軍によって懲罰的に非人間的生活を強いられているパレスチナ人と、方や我が物顔で他人の土地を収奪する入植者。その入植者たちの反発を抑えるために、「青空監獄」にあった唯一の設備であるトイレを破壊した。その必要もないのに、たんなるパフォーマンスとして。
「トイレ破壊」という荒唐無稽な行動のなかにも、占領の残酷さがくまなく表れている。

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