パレスチナ情報センター

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2006.10.29

入植地拡大は止まらない

Posted by:情報センター・スタッフ

 ここのところ、パレスチナ/イスラエルの報道では、入植地やアウトポスト(前哨基地)の拡大が止まっていないことが相次いで報道されている。

 まずは今月初めに統計データが発表され、入植地では入居・転出の割合が高いにもかかわらず、全体としては増加傾向が続いていることが明らかになった。傾向としては、入植者も一般的には機会があればエルサレムやテルアヴィヴなどの大都市に移住をすることを望んでおり(環境や経済などを理由として)、次々と転出をしていくが、それ以上に新規移民が政策的に入植地に送り込まれているのだ。新規移民は親戚でも頼らないかぎり、当然イスラエルには土地を持たないわけで、ある意味では選択の余地はないと言える。

 また、元高官のインタヴューによって、シャロン政権下では違法アウトポストの撤去が行なわれていなかったことが明らかとなった。当時のモファズ国防大臣もシャロンの「撤去はしない」という方針を是認し、事実上撤去はしないという方針を内部で持ち続けていた。
 さらには、現国防大臣のペレツも、10月10日に、「アウトポストの撤去はとくに緊急課題とはしない」として当面黙認する方針を表明。引き続きイスラエル政府には、違法アウトポストに対処をする意志がないことが明らかとなった。

 さらに、19日にイスラエルの和平派団体「ピースナウ」が発表したところによると、アウトポストのうち40パーセント以上が、明確にパレスチナ人の所有地となっている土地に立てられている。アウトポストが占めている土地は1万6千ドナム(1ドナムは約1000平米)。そのうちの7000ドナムについてはパレスチナ人の所有権がはっきりしているという。残りの9000ドナムについては、「イスラエル管轄」(記事によっては「イスラエルの国有地」!)とされているが、しかし西岸地区の土地についてイスラエル政府が管轄・所有するとは、いったいどういうことなのか。占領「法」である軍令に頼る以外に法的根拠があるのだろうか。「二国家」を建前としているイスラエルにおいては、「西岸の国有地」ということ自体が問題視されるべきだろう。

 最後に、イスラエルのハアレツ紙が24日に伝えたところによると、イスラエル軍の調査部がこの二年間で入植地や付随する建造物が増加し続けていることを統計的に把握しておきながら、アメリカと交わした「入植地建設の凍結」の確約に反していることを明らかにすることで、批判を受けるのを避けるため、このデータを秘密扱いにしてきたらしい。

 入植地関係の情報、新しい「エルサレム拡大計画」策定の件と合わせて、もっと詳しく整理して伝えるべきところであり、それについては他日を期したい。

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