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2006.12.30

黙殺されたもう一件の「イスラエル人拉致」

Posted by:情報センター・スタッフ

 6月末にガザ地区で拉致されたイスラエル兵一人をめぐっては、ガザ大侵攻の口実に利用されただけでなく、その後もイスラエルが占領を正当化するための国際的アピールの材料としていることも手伝って、エジプトやEUが継続的な強い関心・懸念を示しており、その安否についての報道がいまだに頻繁になされている。
 ところが、ガザではもう一件、まったく注視されることのなかった「イスラエル人」の拉致が起きていた。メディアに大きく取り上げられることがなかったばかりか、自国民保護にあたるべきイスラエル政府が解放に向けてまったく動こうとさえしなかったのだ。なぜか。端的に「アラブ系イスラエル人」だからだ。
 イスラエル内のティラ村に住む男性が、10月末、イスラームの祝日イードのおりにガザ地区にいる親戚を訪れた後、イスラエルに戻るためエレズ検問所に行くところで、武装した集団に拉致された。だが、イスラエル政府はこの件についてまったくとりあわず(「どうせ親族不和のせいだろう」という憶断まで聞かれた)、解放のためにパレスチナ自治政府に協力要請なり圧力行使をすることもなかった。家族・親族らは、「誰もアラブ系イスラエル人のことなど気にかけてはくれない。政府も無視を決め込み、メディアも報道をしてくれない。ティラとガザにいる親族だけが奔走している」と歎いていた。
 12月半ば、約一ヶ月半の拘束ののち、拉致された男性は解放された。詳細はなおわかっていない。

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