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2008.07.07

東エルサレム住民の「テロ」と、その「制裁」としての家屋破壊

Posted by:早尾貴紀

 日本の新聞・テレビでも報じられましたように、7月2日に西エルサレム中心部で、パレスチナ人建設労働者の運転する大型ブルドーザーが暴走し、イスラエル人3人が死亡、80人程度のケガ人が出ました。
 しかし、このパレスチナ人と武装組織各派との関係はなく、他方、麻薬をしていたという説も流れたりするなど、これをいわゆる「テロ」とみなすことができるかは、不透明です。

 ところで、このパレスチナ人は東エルサレムの住民ですが、6日の報道では、さっそくバラク国防大臣が、このパレスチナ人の住居に対する家屋破壊命令を出しました。
 東エルサレムは、イスラエルの主張するところでは、正式に「イスラエル領」です。つまり、「自国民」に対して、報復・制裁を加える、ということなのでしょうか?! もちろん、東エルサレム以外の西岸地区なら家屋破壊をしていいというわけではけっしてありません。しかし、東エルサレムはイスラエルの立場からしたら「占領地」ではなく「自国領」。にもかかわらず、報復措置?
 いや、イスラエルは、土地はイスラエル領だけれども、パレスチナ人住民についてはイスラエル国籍を与えていない、という奇妙きわまりないダブルスタンダードを適用しているのです。この報復措置という法治国家と思えない愚挙にはこのダブルスタンダードが存在します。
 一部日本の報道で、「犯人はイスラエルIDをもつ東エルサレム住民」とありましたが、これは間違いです。「イスラエルID」ではなく「エルサレムID」という特異なものです。イスラエル国民でもパレスチナ自治区民でもない、エルサレムID。イスラエル国内はこれで移動していいというもの。

 それにしても、「テロ」なのかどうかさえ定かでないこの事件について、エルサレムの家族の家屋を破壊せよ、というイスラエル国防大臣の決定。イスラエルという国家のレイシズムと占領政策が、あからさまに表出しています。

 この件については、後日「スタッフ・ノート」にさらに詳述予定。

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