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2008.11.17

ガザ攻撃激化/食糧・燃料・電力不足深刻化/アミーラ・ハスの現場復帰

Posted by:早尾貴紀

 このところ、日本のメディアではまったく報道されないが、イスラエル軍によるガザ攻撃が継続的におこなわれ、連日死傷者を出している。死者だけで、今月は18人を数える。

 一定の「停戦」という名分がありながら、しかし、兵糧攻めが緩んだためしなどない。食糧不足・燃料不足・電力不足は深刻な状態が長期化し、まもなく冬季に入る。ガソリンはもちろんのこと、調理用のガスさえも不足しているありさまだ。
 さらに、UNRWAの配給食糧さえ底を尽き、難民への配給も停止した。

 一方で「停戦」という空約束が与えられているにもかかわらず、それでいて、ハマス政権と交渉を始めるでもなく、住民には何の見通しも希望も与えられていない。不満や抗議がカッサーム・ロケットとして暴発すれば、それを口実に、イスラエル軍は、陸・海・空から、「停戦違反」「テロリスト掃討」という名目で攻撃・侵攻を仕掛けてくる。
 もちろんそれに対してハマスは、「報復」としてまたカッサームをガザ周辺に飛ばす。エフード・バラク国防大臣はここぞとばかりに、イスラエル軍を動かす。

 しかしながら、イスラエルの政局や、任期切れと退任が迫っているオルメルト首相の(何を今更の)「1967年ボーダーの尊重」姿勢などを考えると、労働党首バラクの政治パフォーマンスではないかとも指摘されている。(現状では、第一党カディマの党首がオルメルトからリヴニに代わったが、リヴニが連立内閣の組閣を断念し、総選挙が確定したため、各党の選挙向けの駆け引きが白熱してきている。)
 そんなことのためにガザの住民らが苦しめられている。殺されたのは、例によって、武装活動家だけではない。海で漁師が殺され、住宅地で子どもも含む市民が殺されているのだ。

 日本のメディアではリヴニの組閣失敗と総選挙への政治日程ぐらいしか報道されない。

 他方で、メディア絡みでは、ハアレツ紙のアミーラ・ハスの現場復帰があった。この半年ほどだろうか、ハアレツ紙の社内方針で、ハスは休職させられていた。他に、メロン・ラパポートのように解雇された記者もいた。「左派紙」と見られることを嫌った上層部・経営サイドの意向とも言われた。(もともと、骨のある記者が少数いるだけのことで、あくまでハアレツは「シオニズム左派=労働党的シオニズム」であっても、いわゆる「左派」であったためしなどない。)
 だが、一週間ほど前からだろうか、ガザからハス記者の署名記事が掲載されるようになった。せめてものまともな報道として注目したい。

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