パレスチナ情報センター

Hot Topics

2010.06.03

ガザ自由船団襲撃の現場からの証言

Posted by:情報センター・スタッフ

5月31日にイスラエル軍からの一方的な攻撃を受けた現場(船上)にいた人たちのうち、早くに解放された何人かの証言です。その後、イスラエルに拘束されていた人たちも解放されはじめたので、これからさらに多くの証言が公にされるでしょう。700名近くの人びとの証言にイスラエルの "嘘" が太刀打ちできるわけがありません。

【証言1】

6隻で構成されていたガザ自由船団のリーダー船(最も激しい攻撃を受け、死者を出した船)マヴィ・マルマラ号(Mavi Marmara)に1歳のお子さんと一緒に乗っていたトルコのニルフェル・セティン(Nilufer Cetin)さんほか、数名の平和活動家が、1日(火)の時点で解放されました。以下は、ハアレツ紙掲載の、2名の記者+APによる記事が伝えた彼らの証言の一部です。

「この計画に参加すれば危険がともなう可能性があることは承知していました。でも、ガザにも何千人もの赤ちゃんがいます。何事もなくガザに着いていれば、今ごろはその子たちと一緒に遊んで、船に積んでいたものを食べてもらっていたはずなのに」(ニルフェル・セティンさん)

セティンさんが語ったところでは──イスラエル海軍の船は、前日、31日(日)の夜10時ころから2時間にわたって、船団にいやがらせの行為を続けた。そして、翌1日の午前4時ごろに戻ってくると、警告の発砲を始め、船団に引き返すように言った。

マヴィ・マルマラ号がそのまま前進を続けると、いやがらせは攻撃に変わった。

「ガス弾・煙幕弾が撃ち込まれて、ヘリコプターから特殊部隊が降りてきました」。その後に起こったことは「目を覆いたくなるほどひどいものでした」(ある人は、船上が血の海になった、と語っている)

「私は子供がいたので解放されましたが、持ち物はみんな、携帯電話もラップトップも全部没収されてしまいました」

セティンさんのご主人(マルマラ号の機関員)は依然としてイスラエル側に拘禁されている。

スフェンドニ号(Sfendoni)に乗っていて、セティンさんと同じく1日に解放されたギリシアの平和活動家、ディミトリス・ギエラリス(Dimitris Gielalis)さんはこう語っている。

「突然、四方八方からゴムボートが押し寄せてきて、あっというまに重装備の特殊部隊が船上に上がってきました。そして、プラスティック弾や棍棒や電気ショック棒など、考えられる限りのものを使いました」

スフェンドニ号の船長は、舵輪から離れることを拒んだため、めったうちにされ(命には別状なし)、事態を撮影していたカメラマンはライフルの銃身で目を強打された。「もちろん、誰ひとり、こんな戦争状態になるなんて思ってもいませんでした」

また、マルマラ号のすぐ前にいたフリー・メディテラニアン号(Free Mediterranean)に乗っていた活動家と乗員は「マルマラ号には空と海から兵士たちが遅いかかっていました。銃声も聞こえました」と語っている。「私たちの船では、イスラエル軍がブリッジに上がってくるのを止めようとした者が、電気ショック棒とプラスティック弾の攻撃をくらいました。抵抗はいっさいしていません。たとえ抵抗したいと思っても、抵抗できる手段などありませんでしたから」


ハアレツ紙掲載の 'The ship turned into a lake of blood,' says activist on Gaza flotilla By Liel Kyzer, Yair Ettinger and The Associated Press より抄訳。

[訳注:初出・最新アップデートは5月31日になっていますが、写真や本文内容から以後追記・追編集されているのは明らかで、6月1日が妥当なところでしょう]


【証言2】

イスラエル軍の集中襲撃を受けたガザ自由船団(6隻構成)のリーダー船、マヴィ・マルマラ号(Mavi Marmara)に乗船していた、イスラエルの国会議員ハニーン・ズアビー(Haneen Zoubi)さん(アラブ系イスラエル人)は、ナザレで行なわれた記者会見で次のように証言しています。以下は、ジャーナリスト、ジョナサン・クックによるレポートの抄訳です。

[イスラエル国会議員ハニーン・ズアビー談]

イスラエル海軍の船がマルマラ号を取り囲み、数分間発砲を続けたのち、ヘリコプターから特殊部隊が直接、船上に降り立った。

乗客の多くが甲板から船室に追いやられた。乗客で武器を持っている者はひとりもいなかったし、自分が気づいた限り、乗客側からはいかなる挑発も抵抗もなされなかった。

イスラエル軍の急襲が始まって数分とたたないうちに、自分を含むほとんどの乗客が閉じ込められていた上甲板の主船室に、3人の遺体が運び込まれてきた。2人は頭に銃弾を受けていた。これは "処刑" だと思った。

ほかに2人、主船室にいた者でひどく出血している人がいた。このままでは死んでしまうと、窓を開けて、ヘブライ語で「医者を呼んで」と叫んだが、イスラエル兵は無視した。自分が確認したところでは、重傷者は少なくともほかに7人いた。

「周到に計画された作戦です。イスラエルは、何人も殺すことで、今後、いかなる支援船団もガザ包囲を突破することはできないというメッセージを送ろうとしたのです」

イスラエル軍はマルマラ号を制圧したのちに、船内を捜索したが、武器はいっさい発見されなかった。


Israeli MP's terror aboard aid ship Jonathan Cook, The Electronic Intifada, 2 June 2010 より、ハニーン・ズアビーさんが語った部分の抄訳。


翻訳:山田和子

トップページ
パレスチナ情報センター