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2011.08.22

イスラエル軍の攻撃激化 ガザでも西岸でも 18日〜21日まで

Posted by:情報センタースタッフ

リビアでの事態の進展で、パレスチナ情報が英語でもあまり入ってこないが、今日になっても、イスラエル軍などによる攻撃が続いていることがほそぼそと伝わってくる。

今日までの簡単なまとめ。

・18日(木) ガザのラファでイスラエル軍による爆撃 5人が殺される。(Popular Resistance Committees (PRC)の幹部4人とその子ども2歳)。エイラートでのPRCによる攻撃*への報復、超法規的暗殺だとネタニヤフ首相が声明。(*17日、ネゲブで銃乱射、イスラエル人8人を殺害した事件。PRCは関与を否定)

・19日(金) 午前1時、ガザ市西部の政府系ビルへの爆撃。ビルの西側、崩壊。子ども7人を含んだ23人が軽傷を負う。法務省の建物の他、水道局やメディアセンター、大学、人権センター、商店いくつかなども損傷を受ける。1時半、ガザ南部のハマス系訓練サイトに爆撃。負傷者なし。広範囲に爆撃したため、家々やモスク、水タンクなどが損傷を受ける。午前2時過ぎ、ラファのトンネル2つ、ハマス系のキャンプサイトが爆撃される。午前11時過ぎ、ヌセイラートの水処理場が爆撃される。近くにある発電所も破壊される。通行人2人負傷。一帯で停電状態に。続いて北東部のザワイダ村にミサイル攻撃。家々が破壊される。負傷者なし。ガザ、各地へのミサイル攻撃続く。レジスタンス活動家への暗殺が散発的に続く。ガザ市東部への無人攻撃機によるミサイルで、破片が身体を貫通した子ども2人が重態(一人は14歳)。午後7時、ガザ市のザイトゥーン地区へミサイル攻撃いくつか。5階建てビルなどが損傷。子どもたちを中心にショック状態が広がる。ガザ市東部やハーンユニス東部にイスラエル軍の戦車が配備され、砲撃を開始。午後11時前、ガザ市西部を走っていたバイクに無人攻撃機からの攻撃。医師、アル・クッズ団幹部、2歳の子どもが殺される。通行人の5人も負傷。(まだまだあるが、書ききれない)。

この24時間で、ガザでは7人が殺害され、8人(子ども、女性を含む)が負傷。

・20日(土) 午前0時、ハーンユニス近くの村の家がイスラエル諜報部から退去命令を出される。退去5分後、その民家にミサイルが打ち込まれるが、標的を外れ、損傷は少なかった。しかし、さらにミサイル投下。近くの羊牧場に落ちる。この家は今年3月にも同じ目に遭っている。

・21日(日) 西岸・ヘブロンでもイスラエル軍による大規模な作戦が開始される。約50人が逮捕される。その内分けは、ハマスメンバー(パレスチナ評議会議員含む)、ジャーナリスト、大学教員、慈善団体幹部など。 午前0時半、100台ほどの車両と2台の装甲車、救急車に乗ったイスラエル軍がヘブロン市内を急襲。ヘブロンへの入り口を全部封鎖。市内をいくつかの地区に分け、市内北西、北、中央、南西の多くの通りで音響爆弾や空砲を使い、住民を家から出させ、道路に集め、家宅捜索を行った。IDカードのチェックも銃を突きつけて行われた。拘束された人の親族によると、軍用犬も使われていた模様。午前5時前に引き上げていくまで、イスラエル軍は住民への辱めを続けた。拘束(拉致)された人々はベツレヘム近くのクファー・エツィオン拘束所へ連行された。ヘブロンでの大きな軍事作戦が行われたのは2004年以来(ただし、日常的にヘブロンでは超右派入植者などによる暴力が振るわれている)。

同時刻、ヘブロンの北西、南西の6つの村にもイスラエル軍は同様の急襲をかけ、2人を拘束している。拘束されたのはハマス系の議員とアル・クッズ大教授。

以上、 パレスチナ人権センター(PCHR) のレポート3つより要約。

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まだ、上記に上がっていないニュース。

・21日(日) 再度ガザへのミサイル攻撃が行われた。午後、ガザ北部ベイト・ラヒヤのハマスキャンプに2発のミサイルが撃ち込まれ、3人の子どもを含む7人が負傷。その前には子どもたちのグループにミサイルが落とされ、12歳の少年が重傷を負っている。

マアン・ニュースによると、ガザの人々はさらに大規模な作戦が行われるのではないかと不安に襲われ、通りを歩くのも恐怖しているらしい。

また、政治アナリストによると、20日の作戦で、西岸南部で120人が拘束されたという情報も出ている。ガザからは散発的にイスラエル領土へのロケット弾が発射されているが、どこの団体が行っているか、あまりはっきりとはしていない。

以上、 マアン・ニュース より。(あれ?イスラエルが開発したというロケット弾迎撃システムはどうしたのだろう?)

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以下、ツイッターから信頼おけそうな最新情報を載せようとしたが、むむ、ツイッターがフリーズしてしまった。前の部分が読み込めない。断念。ここまでで一回、終了(次にツイッターからの情報を転載します)。リビアのトリポリではカダフィ派が完全放逐されたようだ。それで中東関係のフォローが多い私のツイッターはフリーズしているのかも。

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(書き手による感想)

イスラエルはハマスとファタハが手を組んだことに大きな危惧を抱いているのだろう。だから、ハマスを特に標的にして、亀裂を入れさせることを狙っていると考えられる。

また、9月あたりにパレスチナが国連で独立国家として承認されるという事態も食い止めたいのだろう。イスラエル政府が望んでいるのは、永久に現在の占領体制を引き伸ばしていくことだ。(しかし、陸海空の覇権もなく、入植地や壁だらけで、出入国の管理さえ持たないパレスチナが「国家」になっても、たいした意味は持たないと思う)。

イスラエル政府は8月中旬に、東エルサレムを中心として、新たな入植地計画を発表した。これはさらにエルサレムをパレスチナから分離させ、東エルサレムまで含めてイスラエル側に取り込み、さらに西岸を分断する動きを強めるものだ。(現在、わかっているだけでも約5200戸の新築が計画されている)。和平交渉は、入植地の凍結を条件としているのだから、和平交渉ももちろん動かなくなる。その間に入植地は更に増殖し、既成事実が作られていく。飛地としてしか存在しないパレスチナの土地という形で。

(この入植地計画に関しては イスラエル:入植地の住宅建設を承認…東エルサレム (毎日新聞、8月14日付、花岡洋二記者、地図入り)が非常によくまとまっている。)

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