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2013.12.16

アメリカ学会(ASA)がイスラエルに対するアカデミック・ボイコットを決議!

Posted by:情報センター・スタッフ

アメリカの大きな学術団体であるアメリカ学会(American Studies Association)の全国評議会が、イスラエルに対するアカデミック・ボイコットおよびBDS運動への支持を全員一致で決議しました。パレスチナ人研究者のネットワークである「イスラエルに対する学術・文化ボイコットのためのパレスチナ・キャンペーン」は、この決議について、「パレスチナ人民に対するイスラエルの占領、植民地化、アパルトヘイト体制の維持への加担についての説明責任を、イスラエルの諸機関に負わせることへの重要な第一歩」であるとして歓迎を表明しています。
Historic Decision: American Studies Association National Council Unanimously Endorses BDS (Palestinian Campaign for the Academic and Cultural Boycott of Israel)

決議文ということで、若干硬質な文面ですが、参考までに訳文を紹介します。

イスラエルに対するアカデミック・ボイコットに関するアメリカ学会の決議

原文: American Studies Association Resolution on Academic Boycott of Israel


2013年12月4日

アメリカ学会は、社会的正義の追及とともに、反ユダヤ主義、差別、排外主義を含むをあらゆる形態の人種差別に対する闘い、そして、合州国および世界において苦しめられている人々との連帯に積極的に関与しているのであり、

合州国は、イスラエルによるパレスチナ占領と国際法違反である違法入植地や「壁」の拡大を可能にする点において、また、パレスチナ人の福祉全般、政治的権利および人権の行使、移動の自由、そして、教育の機会に対する破壊的影響が諸文書によって証明されているところの、パレスチナ人に対する体系的差別への支持という点において重大な役割を演じているのであり、

イスラエルの占領という条件下にあるパレスチナ人の学生・研究者にとって、学問の自由は実効的ないし実質的に存在せず、またイスラエルの高等教育機関は、パレスチナ人の研究者・学生の人権を侵害し、その仕事環境にマイナスの影響を与えているイスラエルの国家政策の当事者であるのであり、

アメリカ学会は、イスラエルの国家政策を批判し、ボイコット・資本引揚げ・経済制裁(BDS)運動を支持するイスラエルの研究者・学生が、孤立と制裁の恐れの下にあることを認識しているのであり、

アメリカ学会は、学生・研究者が、過度の国家干渉や抑圧、軍による暴力を受けることなく、教育と研究に従事する権利を守ることに貢献し、市民・研究者としての学問の自由および政治的な異議の表明に関する、学生・研究者の権利を支持するこれまでの諸声明の精神を保持しているがゆえに、

アメリカ学会は、イスラエルの学術機関に対するボイコットを求めるパレスチナ人の市民社会による呼びかけに賛同し、尊重することを決議する。また、アメリカ学会は、学生・研究者がどこであれ、イスラエル-パレスチナに関する研究や公的発言を行うこと、そして、ボイコット・資本引揚げ・経済制裁(BDS)運動を支持・支援することについての明確な権利を支持することを決議する。


【参考記事】 American Studies Association, 対イスラエル学術ボイコット決議を採択 (吉原真里 2013年12月17日)


なお、日本のアカデミズムにおいては、日本学術会議がイスラエル化学・人文アカデミーとの協力関係を深めるなど、国際的な流れに逆行する動きが強まっているようです。

イスラエル科学・人文アカデミーとの協力覚書署名式 (日本学術会議、2013年10月10日)
駐日イスラエル大使の表敬訪問 (日本学術会議、2013年6月7日)
イスラエル国産業貿易労働省チーフ・サイエンティスト表敬訪問概要 (日本学術会議、2012年2月8日)

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