パレスチナ情報センター

スタッフ・ノート

2004.09.19

イスラエルの日本認識

Posted by :早尾貴紀

 今朝(04年09月19日)のイスラエル紙ハアレツの一面トップに、「IDF、西岸で11人殺害」の記事と並んで、「日本が中国を『安全への脅威』であると名指す用意がある」という記事が出ています。そもそも日本の記事がハアレツに出ること自体がまれですがで、ごくたまに出るときも、せいぜいずっと後ろのほうに出るベタ記事ばかり。それが一面に来るなんてことは異例中の異例です。しかも、イスラエルのユダヤ歴では、9月16日に新年を迎え、翌17・18 日と新聞休刊日。その新年三ヶ日が明けて、(元旦特集号を除けば事実上)一年で最初の新聞のトップ記事です。イスラエルのある種の意図を感じずにはいられません。
 僕はここで、9月始めに起きた、ロシアの学校占拠事件を思いだしました。ロシア南部の北オセチアで武装グループが学校を占拠するという事件が起こりましたが、ロシア軍が交渉よりはむしろ突入を試み、結果として人質500人以上が死亡しました。このとき、即日ブッシュとシャロンと小泉が、「武装テロリストと交渉の余地はない」としてロシアの行動を支持し、揃ってプーチン大統領にエールを送ったのが印象的でした。明らかに彼らは、「反テロ連合」としてお互いの戦略を承認しあうという立場を取っています。

 もちろん日本政府が仮想敵国を探し、北朝鮮とともに中国についてもそうしたレッテルを貼るタイミングを見計らっているのは事実でしょう。今日のハアレツに出ていたのも、小泉や外務省広報の発言や、日本の新聞の論調を紹介しながらの記事ですから、それ自体は誇張でも何でもないでしょう。むしろ僕が改めて認識させられたのは、イスラエルの地政学的地図の中では、「日本−中国」は「イスラエル−パレスチナ」にそのまま重ねられているということです。もちろん、後者が「テロの枢軸」として、前者が「反テロ連合」として。こうしてイスラエルは、パレスチナの軍事占領と占領地での攻撃を正当化し国際社会から認めてもらう手段として、アメリカのみならず、ロシアや日本を味方につけるという姿勢を明確にしつつあります。そのことが、ハアレツの論調からうかがえます。
 つまり日本は、イスラエルから「お仲間」として認められたというわけです。日本は、イスラエル・アメリカと「同じ陣営」に属しているというふうに(否定しようのない事実ですけどね)、イスラエルに認めてもらっている。

 イスラエル紙が、このことを重要なニュースとして伝えているということに、たんなる事実問題以上に、深刻さを感じさせられました。日本の中にいたら伝わりにくいことですが、外から見たときの「日本の気味悪さ」というのを改めて見せつけられた気がします。こういうことを突き付けられると、我が身が恥ずかしくなるし、また、これからパレスチナに行くたびに、おそらくどんどん対日感情が悪化していくのを感じるだろうということが予想され、憂鬱になります。