パレスチナ情報センター

スタッフ・ノート

2008.06.16

JICAの地図にはパレスチナは存在しない?

Posted by :早尾貴紀

 たまたまJICAの名前が入っている世界地図カレンダーを手にしました。「2008カレンダー 世界が見える 世界地図」とタイトルされています。
 しかし、イスラエル/パレスチナをよく見ると、西岸地区・ガザ地区もなく、すべてが一色に塗りつぶされて、「イスラエル」となっていたのです!! そんなバカな〜〜?! JICAって、 「平和と繁栄の回廊構想」 とか言って、パレスチナ支援に力を入れてませんでしたっけ?

 厳密に言えば、この世界地図は、JICA東北、つまり「国際協力機構 東北支部」によるもので、かつ地図本体の制作はJICAではなく、 株式会社世界地図 というところが、企業や団体から依頼を受けて、会社名や団体名を入れてデザインした「オリジナル世界地図」というものです。
 しかしですね、上記の世界地図(株)のサイトには、こういう宣伝文句が。

○『広報メディア』であると同時に、『啓発(教育)資料』にもなる、唯一のインプリンティング媒体!
○地図中の広告欄(フリースペース70mm.×70mm.)は、自由に表現(カレンダー追加も可能)
○オーダーメイド世界地図ですから、地図内もアレンジ可能

 つまり、「地図内もアレンジ可能」ということは、かりにパレスチナなしで全土をイスラエルに塗りつぶしたものを制作したのが地図会社だとしても、それを直させることは可能であったはずなのに、JICAはそれをスルーして修正しなかったということになります。
 しかも、東エルサレムが、とか、ゴラン高原が、という微妙な線引きの問題などではなく、全土イスラエルという「大イスラエル主義」が実現したのか!っていうとんでもない地図なわけです。あまりの無神経さに、あきれかえって、失笑しました。

 さらに地図会社のサイトの宣伝文章の引用を続けます。

○世界地図は、児童、生徒、学生たちに夢、希望、そして目標を与えます!
○世界地図は貴社の企業イメージを高め、長期間にわたり費用対効果の高いPR効果をもたらします!

 えー、パレスチナが存在しない地図が、いったいどんな「夢と希望と目標」を与えてくれるのでしょうか? そしてそんな地図カレンダーを配って歩いているJICAはいったいどんなイメージを植えつけ、どんな費用対効果を得ていくのでしょうか?

(こういう地図カレンダーを作成・配布しているっていうのは、JICA東北だけなんでしょうかね? JICA全体で共通した事業なのでしょうか? 他の支部のもの、あるいは本部のもので同様の地図カレンダーを見かけた方は、お知らせください。)